管理運営時代の計画・設計

これまでは標準的な方法で定められた計画日最大汚水量計画流入水質計画発生汚泥量等の計画値、水理学的滞留時間(HRT)水面積負荷等の設計基準値を活用することで、汚水処理施設は効率的に整備され、適正に運用されてきました。

しかし、これらの計画値と実績値との間に乖離が生じ、設計基準値をもとに設置された施設が現場条件に合致していない等の要因で、既設施設の運用に関しての課題が浮かび上がってきました。

目次

設計基準値から実績値や評価値活用への変更

容量計算書で用いる値は設計指針の標準値を用いているものが多いですが、反応タンクや最終沈殿池及び消毒施設等の容量計算に必要な項目については、既存の実績値(流入水質)ならびに実績値から算出した評価値(流入水質と初沈流出水質の実績値から算出される初沈除去率等)を用いることができる項目も多いです。

こうしたことから、既存汚水処理施設の処理実績を蓄積、評価し、従来の標準値に代え評価値を用いて処理能力評価を実施することができると考えられます。

また供用開始以降、処理水質、消費電力量等の処理性能に関する維持管理情報が蓄積されており、これらの維持管理情報を分析することで課題を明確化し、要因分析を踏まえた改善策を改築計画に反映させていく必要があります。

改築計画時の留意事項

処理場の改築計画の立案に当たっては、改築時の一時的な処理能力の低下に対する目標処理水質の維持、代替施設の先行整備の必要性、そのための用地の有無等を検討する必要があります。

既存施設の代替機能の確保が困難な場合は、近接処理場とのネットワーク化など広域的な対応を検討する必要があります。

また、省エネルギー対策、自動化による省力化、ICTの活用や時間計画保全と状態監視保全の併用への移行によるライフサイクルコストの縮減等についても検討が必要です。

さらに設備の改築に当たっては、機器停止による下水道機能の低下を招かないように土木施設の改築計画との整合、仮設設備による機能維持を考慮することも重要です。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる